不動産・建築系で人気資格である「マンション管理士」と「一級建築士」について、取得を考えている人が年々多くなっています。
資格取得を考える際、中にはこのような疑問を持つ人もいるかと思います。
- マンション管理士と一級建築士それぞれの資格の難易度は?
- 双方資格の同時取得のメリットはあるのか?
- 初学者の場合、どれくらいの勉強時間が必要か?
本記事では、マンション管理士と一級建築士の難易度・同時取得・勉強時間について業務内容と試験内容の面から詳細に解説していきます。
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マンション管理士とは
マンション管理士は、マンション管理組合の運営や管理に関して管理組合や区分所有者のコンサルティングを行います。
主な業務内容は以下の通りです。
- マンション管理組合や区分所有者からの相談に応じ、アドバイスや指導、サポート
- マンションの長期修繕計画や管理規約などの策定や見直し
- マンションで発生するトラブルの対応
一級建築士とは
一級建築士は、国土交通大臣の免許を受け、あらゆる建築物に関して主に「設計業務」と「工事監理業務」を行います。
主な業務内容は以下の通りです。
設計業務
設計業務は主に以下の4つの業務に分類されます。
- 顧客から設計に必要な情報・予算・完成時期に関する情報の聞き取り
- 意匠設計〜 建築物の造形や間取りに関わる設計
- 構造設計〜 建築物の強度や安全性に関わる設計
- 設備設計〜 建築物の電気や水道等のインフラに関わる設計
工事管監理業務
設計図面、仕様書通りに工事されているかどうかを確認し、正しく工事されていない場合は設計図面、仕様書通りに工事するよう求める義務があります。
マンション管理士と一級建築士の共通点と違いは?
マンション管理士と一級建築士の共通点と違いは以下の通りです。
マンション管理士 | 一級建築士 | |
資格種類 | 国家資格 | 国家資格 |
独占業務 | なし | あり |
試験日 | 年1回(11月の最終週の日曜日) | 年1回 学科(7月の第四日曜日) 設計製図(10月の第二日曜日) |
試験時間 | 2時間 | 学科 6時間30分 設計製図 6時間30分 |
出題形式 | 四肢択一式・50問 | 学科 四肢択一式・20~30問(科目により違う) 設計製図 1課題 |
一級建築士には「学科」と「設計製図」で試験項目が分かれており、試験時間もマンション管理士と比較して長いです。
マンション管理士と一級建築士の試験の難易度と合格率は?
マンション管理士と一級建築士の試験難易度や合格率を紹介します。
マンション管理士の合格率
マンション管理士の合格率は例年7〜9%程度となっています。
令和4年度の合格率はは11.5%でした。
受験者数 | 12,209 名 |
受験率 | 85.1 % |
合格者数 | 1,402 名 |
合格率 | 11.5 % |
一級建築士の合格率
一級建築士の合格率は例年10%程度となっています。
令和4年度は「学科」と「設計製図」両方を併せた合格率は9.9%でした。
一級建築士の受験に関して、建築系学校にて指定科目を修めて卒業すれば、「実務経験無し」でも受験可能となります。
一方、建築系学校を卒業していない場合でも「7年の実務経験後」に受験可能です。
学科 | 設計製図 | |
受験者数 | 30,007 人 | 10,509 人 |
合格者数 | 6,289 人 | 3,473 人 |
合格率 | 21.0% | 33.0% |
総合 | 実受験者数 a | 35,052 人 |
合格率b | 3,473 人 | |
合格率 b/a | 9.9% |
マンション管理士と一級建築士の試験内容は?
マンション管理士と一級建築士の試験内容については以下の通りです。
マンション管理士 | 一級建築士 | |
試験内容 | 法令 31問程度 会計・管理実務 4問程度 建築設備 15問程度 | <学科> 計画 20問 環境・設備 20問 法規 30問 構造 30問 施工 25問 <設計製図> 建築物についての設計図書の作成 1課題 (試験元より事前に課題が公表される) |
マンション管理士と一級建築士は、一部の出題範囲が被っている為、ダブルライセンスの取得を目指す場合効率的に学習できます。
一級建築士は学科と設計製図があり、建築物に関する問題が多岐に渡り出題されるため、マンション管理士よりも難易度が高いといえます。
マンション管理士と一級建築士の勉強時間は?
資格取得にかかる勉強時間の目安は以下の通りです。
マンション管理士の勉強時間
初学者の場合は500時間程度かかると言われています。
1日3時間を勉強時間とすると、6か月程度かかります。
一級建築士の勉強時間
初学者の場合は1500時間程度かかると言われています。
1日3時間を勉強時間とすると、1年6ヵ月程度かかります。
マンション管理士と一級建築士のダブルライセンスのメリットは?
マンション管理士と一級建築士のダブルライセンスのメリットについて、解説します。
マンションを担当とする一級建築士の場合、マンションに不具合やトラブルが生じたときにマンション管理士の資格を持っていると事業主との交渉に有利となります。
また、マンション管理士が一級建築士の資格を持っている場合、マンション管理組合から建築技術を持っていると認識され、マンション管理士として開業がしやすいです。
従って、どちらか片方のみ資格を持っているよりは、ダブルライセンスの方がよりメリットがあると言えます。
マンション管理士と一級建築士、両方取得するならどちらを先に受験するのがよい?
マンション管理士と一級建築士のダブルライセンスを取得する場合にどちらを先に取得すればいいか、取得順序について解説します。
マンション管理士と一級建築士のダブルライセンスを取得したい場合、難易度が高く、幅広い問題が出題される一級建築士を先に取得し、プラスアルファの資格としてマンション管理士を取得する順番がおすすめです。
一級建築士を先に取得しておくと、マンション管理士受験の際に一級建築士と出題範囲で被る部分があることから効率的に学習しやすくなります。
また、独占業務である一級建築士の方が需要も多くなっている為、一級建築士を先に取得する方が転職や開業に繋げやすいです。
マンション管理士と一級建築士のダブル受験は可能?
マンション管理士と一級建築士のダブル受験について解説します。
マンション管理士と一級建築士の試験日は以下の通りです。
マンション管理士 | 一級建築士 |
11月の最終週の日曜日 | 学科 7月の第四日曜日 設計製図 10月の第二日曜日 |
マンション管理士と一級建築士で共通の出題範囲がありますが、一級建築士の方が幅広く、深い知識が必要とされます。
結論として、ダブル受験は長期でしっかりと時間確保ができるのであれば挑戦の価値ありと言えます。
その中で、まずはより難易度の高い一級建築士の勉強に注力し、合格を狙う方が現実的となるでしょう。
まとめ
マンション管理士と一級建築士の難易度・同時取得・勉強時間を考える際は、以下について考慮しましょう。
- マンション管理士と一級建築士、それぞれの業務範囲を考えると、いずれかのみを取得するよりも両方取得するのがおすすめ
- マンション管理士と一級建築士、それぞれの試験の難易度は異なり、一級建築士の方が難易度が高く、多くの勉強時間が必要
- 同時取得は可能ですが、学習の負荷が高いので先に一級建築士を確実に取得し、その後にマンション管理士を狙う方が効率がいい
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